書籍要約

【書籍紹介】年290万円でも豊かな生活ができるドイツ人と、満たされない日本人の違い

2019年2月、とある生活改善関連の書籍が発売されました。

その書籍とは、30年以上ドイツのミュンヘンに住み、金銭だけでは測れない価値を重視する生き方に刺激を受けた、熊谷徹氏の「ドイツ人はなぜ、年290万円でも生活が「豊か」なのか」です。

ちなみにドイツ人の1年間の平均可処分所得は約290万円前後。可処分所得とは収入−(社会保険料+所得税+住民税)=可処分所得という式でなりたち、簡単に言うと「手取り収入」のことです。290万円の可処分所得とは毎月の手取り収入が約25万円となります。(ボーナスなし)

カモネギ

私たち日本人とだいたい同じくらいの給料と思っていただいてOKです。給料的に似ているドイツ人から豊かな生活を学ぶことは決してハードルの高いものではなく、やる気さえあれば私たちにも取り入れやすいと思いご紹介します。

この記事を読むことで

  • ドイツ人がお金をかけなくても豊かに暮らせる理由
  • ドイツと日本を比較して見えた「豊かさ」の違い

が分かります。

ドイツ人がお金をかけないもの

ファッションにお金をかけ過ぎない

大半のドイツ人はファッションに無関心。女性は男性に比べて身なりに気を使っているものの、多くの男性は無頓着なんだそうです。洋服にあまりお金をかけず、ドイツ人は人の目を気にしながら生きている人の割合がめちゃくちゃ低く、日本人に比べると「見た目」を気にしません。

ドイツ人の国民性の1つは強烈な個人主義あくまでもgoing my wayであり、他人が自分のことをどう見ようがかまわないという人が多く、彼らは外見よりも中身を重視するようです。

いっぽうで日本人はどうでしょうか?ブランドのバックを持ち、ブランドの財布を持ち、ブランドの服を着る。ブランドアンバサダーは可愛い、かっこいい芸能人だけではなく、至るところに「なんちゃってアンバサダー」がいるのが日本です。もちろんブランドを否定する気、ブランド好きを否定する気はありません。

ブランド品を買うために長時間働き、大きなストレスと引き換えにブランド品を買ってしまう負のサイクル。ブランド品に拘らなければ長時間働かなくてすみ、仕事に費やしていた時間が減り、自分の自由な時間が増えるのでストレスも減り、結果的にマウントのための消費がなくなります。

食事にお金をかけ過ぎない

ドイツ人の食事は質素なんだそうです。ほとんどのドイツ人は夕食ではまず火を使った料理をせず、夕食は「冷たい食事」と呼ばれるカルテスエッセンや、パンやハム、チーズだけの「夜のパン」と呼ばれるアーベントブロードを食べる質素な食事。

ドイツはトースト用のパンが20枚で55セント(72円)とパンがものすごく安く、夕食はパンで簡単にすます家庭が多いとのことです。贅沢な外食なんてもってのほか。

いっぽう日本の夕食はどうでしょうか。自炊して食べる方もいれば、外食で簡単に済ませる方、ウーバーイーツという割高なサービスにチップを払ってパシリを利用する方もいます。どう考えても日本人の夕食の方がお金がかかっていますよね。

日本人にとって外食とは大きな楽しみであり1種の「ハレ」の場であります。インスタ映えする料理目当てに行って豪華な食事をしようという人が少なくないです。日本で外食すると1万円がすぐに消えてしまいますが、ドイツ人が100ユーロ札(約13,000円)を1回で1人分の食事のために使うことはほとんどなく、日本人ほど頻繁に外食をしないのがドイツ人です。

もちろん私も外食は好きです。気をつけないとすぐに大きな出費となってしまうので、使う金額を毎月固定化し、外食をし過ぎないようにコントロールしています。

休日もお金をかけずに過ごす

ドイツ人は余暇を過ごすにもあまりお金をかけません。週末や休日には自転車に乗るってサイクリングをしたり、森で散歩をしたり、公園の芝生や河原、自宅のベランダで本を読みながら日光浴をしたりする人が多いです。

ドイツは天気が悪く、太陽の光が浴びられるのが5〜9月まで。そのため、太陽を浴びる時間はとても貴重なことで、ドイツ人にとっては太陽の光を浴びながら無為の時間を過ごすこと自体すでに娯楽なのです。

平日の職場でのストレスから回復するために、週末や休暇にはあくせくせずにのんびりと1日を過ごす。あるいは週末に友人をブランチに招いて、コーヒーを飲みながらだらだらと世間話をする。お腹がいっぱいになった後は、近くの公園をのんびりと散策する。これが標準的なドイツ人の余暇の過ごし方なんだそうです。

つまり、ドイツ社会ではお金を使わない娯楽が中心であり、生活の中で「消費」が占める比重が、日本に比べるとはるかに低いということです。

いっぽう私たち日本人は休みの日は用もないのにショッピングへ行ったり、映画館へ行ったり「何か」をしていないと気がすまないという人は大勢います。「消費」で過ごす休日から「体験」で過ごす休日を少しづつ取り入れてみると、新たな気づきもあり、今まで感じなかった「豊かな時間」に触れられるようになります。

ドイツ人に習う、豊かな生活を過ごすポイント

今まではドイツ人がお金をかけないものを中心に紹介してきました。ここからはお金を使わなくてもドイツ人が豊かな生活を送っている秘訣をご紹介していきます。

労働環境

ドイツ人は「自分の生活に満足していますか」と言う問いに対して「非常に満足している」もしくは「かなり満足している」と答えた人の比率は93%。これに対し日本は「生活に満足している」と答えた人の比率は73.9%でドイツよりも20ポイント近く低くなっているデータがあるそうです。

ドイツの連邦統計局が発表したアンケート調査の結果によると2016年の時点で4100万人の就業者のうち90.7%が「現在の労働時間に満足している」と答え、「労働時間に不満なので変更を希望している」と答えたのは9.3%に過ぎなかった。

つまり回答者の9割はワークライフバランスが取れており時間のゆとりがあると考えているわけです。これに対し日本の内閣府の世論調査によると「生活の中で時間のゆとりがある」と答えた日本人は68.6%にとどまっており、ドイツ連邦統計局の調査結果よりも約22ポイント低くなっているそうです。がんばれ、侍ジャパン!って言いたいところですが、私ももれなくその一員でした。

日本とドイツはどちらも物づくりに強い経済大国です。しかしその働き方には天と地ほど違いがあります。

労働時間の短いドイツ

ドイツ人の労働時間は日本人に比べて圧倒的に短い。圧倒的に短いとはどのくらいだと思いますか?ドイツの労働者1人あたりの年間労働時間は1356時間に対して、日本は1710時間と約21%も短い。日本人よりも毎年354時間短く、日数で計算すると約15日休みが多い計算です。うらやましいですね!

有給休暇取得率100%のドイツ

もうひとつ働き方の大きな違いとして、有給休暇の日数と取り方の違いがあります。

ドイツの大半の企業が社員に毎年30日間の有給休暇を与えているとのことです。土日と祝日も合わせるとドイツ人のサラリーマンは毎年年間150日休んでいることになります。1年のうち41%は働かないのに会社が回っていて、世界第4位の経済大国として地位を保っています。

さらに有給休暇の取得率は100%が常識で、日本の有給取得率は50%だそうです。長い休みを取る相手には「休暇を思う存分楽しんできてね♪」とか「仕事を忘れてゆっくり体を休めてね♪」と言葉をかけて、長期休暇はお互い様の精神。

ドイツの労働環境は法律による縛りがある

労働時間や有給休暇など、ドイツの労働環境は法律による縛りが、日本よりもはるかに厳しくしているとのことです。私たち日本人が今すぐにドイツ人と同じような働き方はできないですが、

  • 有給休暇を全て取得する。
  • 今よりも待遇の良い職場に転職する。
  • 副業にチャレンジしてみる。

など、自分が行動することで未来は明るくなります。

転職をするのもゆとりある生活の第一歩に

ドイツに限らず海外だと何度も転職を繰り返し、自分のライフスタイルにあった職場を選び、キャリアアップを図るのが一般的です。日本では転職する回数が少ないですが、最近は年収を上げるなら転職するのが1番早く、転職活動はノーリスクでできるので、現状を変えたい方は転職することも視野に入れてみてもいいかもしれません。

私自身は転職というよりも副業から独立を考えているので、今の職場に勤めながら下記のようなものに色々とチャレンジしてきました。

  • ウェブデザインの勉強
  • せどり
  • ブログ運営
  • インスタ運用

ウェブデザインは私には難しく断念しましたが、勉強している間は楽しかったです。せどりは3ヶ月夢中でやって月2万円の利益が出ましたが、お小遣い稼ぎにはいいけど、ずっと利益商品を見つけることが大変なのと、車で移動するのでガソリン代やオイル交換代など費用が嵩み、利益にならないのではと思い断念。インスタ運用も半投資くらい続けましたが、収益が発生しないので挫折。

ブログ運営に関してはこのブログ以外にもあと1つ運営していて、そちらが月平均600円の利益が最近出るようになってきました。ブログも収益が発生するまでは時間がかかりますが、コストが安いので続けやすく、自分が発信したいことが自由に発信できるのでやっていて楽しいです。

話が脱線しましたが、現在の労働環境を見直し、できるだけストレスを抱えない仕事ができるよう行動するのみです。

静かな環境

ドイツ人はお金や消費に振り回されず、それ以外の価値を重視している印象が強いです。つまり「お金だけが全てではない」と考える人の割合が、日本よりも多い。ドイツ人は、お金以上に重視するものは「静かな環境で過ごすこと」をとても大切にしています。

仕事の疲れを癒すためには静かな環境が不可欠だと考えていて、森や公園など、自然を満喫することも日本人以上に重視しています。静けさや豊かな自然は、お金では測れない価値があるのです。

意識していなくても目・耳からさまざまな情報が入り、処理しきれない情報はノイズであり、私たちは慢性的に疲れています。仕事から帰って来てもテレビなんとなくつけ、SNSをなんとなく見て、なんとなく1日を終えてしまいます。

疲れが取れないまま翌朝を迎えるので、だるくて仕事に行きたくないと感じてしまいます。

私の家にはテレビはありますが、普段は見ません。入浴後は副交感神経が優位に働くように、お部屋の灯りを少し暗めの暖色系にして、心と体がリラックスできる環境を整える工夫をしています。

自由な時間

もう一つ、ドイツ人がお金よりも重視しているものが自由時間。大半のドイツ人は、「プライベートな時間を確保するためには、仕事はほどほどで良い。給料を引き上げるために、家族や友人と過ごす時間を削りたくない」と考えています。

ドイツの新しい通貨は「自由時間」だと言う見方が強まっていて、お金よりもプライベートな時間の方が重要だと考える人が増えています。

若い労働者の間では賃上げよりも休暇日数の増加や時短を求める人の方が多く、「月給が増えなくても、家族と過ごす時間が増えればいい」と考える人が主流になりつつあります。ドイツでは多くの人が「時間」と「お金」を天秤にかけているのだそうです。

お金以外の価値の比重が高まっているために、金銭の持つ意味が、相対的に低くなりつつあります。その点で日本と比べると余裕がある社会なのです。お金も大事だが、自由時間はもっと重要だと言う人生観を持つ労働者が多い。

自由時間が増えれば心のゆとりができるので、お金や消費に振り回されることが減り、逆に仕事に追われて自由時間がないと、そのストレスを発散するために「衝動買い」など派手な消費に走り、何でもお金で解決しようとする傾向が強まります。

まとめ

年290万円でも豊かな生活ができるドイツ人と、満たされない日本人の違いを解説してきました。

まとめ
  • ファッションにお金をかけ過ぎない。
  • 食事にお金をかけ過ぎない。
  • 休日もお金をかけずに過ごす。
  • 労働時間が短く、有給休暇取得率100%のドイツ。
  • お金よりも静かな環境の方が価値が大きい。
  • お金よりも自由な時間を大切にしている。

今日が人生で1番若い日です。

ドイツ人のようにいつでも休みを取ることができ、しかも毎年2〜3週間の休みをとることがわかっていれば、心のゆとりが生まれます。したがってドイツ人の間には普段の娯楽にお金をかける人、消費で心の隙間を満そうとしている人は比較的少ない。

日本では会社での仕事が忙しいために、まとまった休みが取れないこと、労働時間が長いことによって溜まるストレスを、自由に使える時間が少なくても、買い物ならば比較的短時間で行えます。そのため日本では消費を娯楽としている人が多くなりがちで、パーッとお金を使うことでストレスを発散していると著書の熊谷氏は述べられていました。

ドイツと日本では労働環境がかなり違いました。これはすぐには解決できない問題です。しかし工夫と行動力次第で、いくらでもドイツ人のように年収が高くなくても豊かな暮らしはできるものです。

最後に著者の言葉で終わりたいと思います。

「日本とドイツの間には法律や文化の違いがあるので、働き方を比べることはできない。」という意見もある。しかし、人間の一生が1度しかないということについては、日本人とドイツ人の間に差はない。失われたお金はもう一度稼ぐことができるが、失った時間は取り戻すことは絶対にできない。

その意味では、「新しい通貨は自由時間だ」というドイツ人の見方には一理ある。我々が人生という舞台のスポットライトを浴びていられる時間は、意外と短い。

我々日本人は、会社に就職するとき、人生という上演時間を会社のための時間と、プライベートな生活との間でどのように割り振るかについて真剣に考えない。だが、ようやく働き方改革についての議論が起きてきた今、「会社」と「自分」のどちらに多くの時間とエネルギーを裂くかについて、じっくり考えてみるべきではないだろうか。

出典:ドイツ人はなぜ、年290万円でも生活が「豊か」なのか